2001年のQueen コンベンションで会場から寄せられた質問とブライアン・メイの答えの中から個人的に興味深かった部分を抜粋て訳しました。
(フレディがいない中でのグレイテスト・ヒッツⅢを制作はどうでしたか?)1:35
心の中で綱渡りをしているようだった。僕らはみんな何度か(綱渡りの)ロープからも落ちてしまったと思う。グレイテスト・ヒッツⅢを制作中、何度も何度もフレディの声を聴くのはとても辛かった。形になり始まると大きな喜びもあった。スタジオでみんなでレコーディングしたかのように感じることもあった。実際には収録された曲はどれも一緒にレコーディングしたものではなく、ある瞬間瞬間をとらえたものを集めたものだ。
人々が過去の遺物の寄せ集めだと思わずに笑顔になり、楽しむことができる作品となってくれたことがとても嬉しいよ。僕ら自身は過去の遺物ではあるんだけどね。誇りに思える出来のとても好きなアルバムになった。
トラック13はお気に入りだよ。やったことのない試みだったから。フレディも気に入ってくれてたんじゃないかな。彼の声も何か所かに入っているからね。まあ、難しいプロジェクトではあったよ。
僕は自分の2つ目のソロアルバムの制作にとりかかるつもりだったが、結局約2年半、グレイテスト・ヒッツⅢにかかった。その後に再開したソロアルバムの内容にも影響し、当初考えていた内容より大きく変わったものに仕上がった思う。とはいえ、そう変わる運命だったんだろうね。
(もしフレディがが今も健在だったとしたら、クイーンの音楽はどんな方向へいっていたでしょう?)8:52
ブライアン:なんて難しい質問なんだ。まず、フレディが今もここにいたらクイーンは今も活動を続けていただろうね。どんなに困難があってもクイーンとして活動するという事は価値がある事だからね。ソロの活動もしてるだろうけど、時々集まってクイーンとしても活動していたのは絶対だね。どんな方向に向かっていったか、は全く想像がつかないね。クイーンはまっすぐに一つの道に向かうことはなかったから。同じことを繰り返さなかった事は誇りに思ってるくらいさ。
変わった新しい事を試していただろうと思うよ。僕たちは世界が僕たちに望んでいるのかをわかってはいたけど、望まれてる形にはなりたくなかったんだ。きっと流行の音楽とは一線を画す面白いものを作っていたと思うよ。
(私と結婚してくれませんか?)13:00
ブライアン:慎重に答えなければならないね。こんな質問をもらえるなんてありがたいね。心の底からお礼を言うよ。でも、本当の僕を知っていたら、僕と結婚したいなんて思わないかもしれないよ。離婚歴あり。どうなるだろうね。
(クイーンのメンバーとして活動するより、ソロで活動する方が満足感や喜びが大きいですか?)15:22
ブライアン:良い質問ばかりだね。自分のやりたいことをやれるのは楽しいし、夢のようにありがたいことだ。
でも、ジョン・レノンが言っていたように、部屋を見まわし、そこにみんながいてくれたら、と思う事があるよ。バランスが重要だよね。今もクイーンが活動を続けていて、自分がそういうバランスをとれていたらよかった。僕たちはお互いが作用しあい素晴らしいものを作り上げていた。それが恋しい。それが恋しいととてもよく考えてる事を認めるよ。ソロ活動も良いけれど、他の3人とともにスタジオに入って行けてたら最高だったろうな。ソロでもクイーンでも素晴らしい経験をさせてもらった。
(ツアーに必ず持っていくものはありますか?)22:35
昔はあったけど、今はないよ。子供っぽかったんじゃないかな。今は現地の食べ物を楽しもうと思っている。以前は子供たちもHPのベイクドビーンズやトマトスープなんて持って行ってたけど、今は行った先の食べ物を食べるね。ツアーの時は1つのスーツケースにもしもの時のための薬やビスケット、チョコレートとかを持って行っていたよ。人生は新しい体験のためにある。オープンでいないと新しい体験はできないよね。ひとつだけ必ず持って行くものがある。片頭痛の薬。
(できなかった事で後悔していることは?)25:24
オリジナルに欠ける答えを言うこともできるね。アルベルト・アインシュタインの答えを知ってる? アインシュタインは「あなたは輝かしい功績を残されていますが、何か後悔していることはあるますか?」と聞かれ、「1人の女性と生涯を添い遂げたかった」と答えたんだ。僕もそうできたらよかったと思う。人生が崩れていくような事を経験せずに済んだだろうし、そのことを誇りにも思えていたんじゃないかな。
後悔している事か…そうだな、20代のうちに自分の恐れと対峙していたら良かったと思うね。最悪の状況を潜り抜けた今、より良い人間になれたと感じる。もっと早く恐れと向き合えていたらいろいろなこと、人間関係とか、もっとうまくいっていただろうと思うね。とは言っても、これも運命だよね。今はここに辿り着いたことをありがたく思う。
(あなたの作った曲の中で、あなた自身を最も表している曲は?)26:55
答えられないね。なぜならどの曲も当てはまるから。曲を作るにあたって、僕は常にありのままの気持ちを表してきたんだ。時にはあまりにも率直になりすぎたこともあった。だからどの曲にも僕自身が大きくと投影されている部分がある。曲によって度合いが違うけれど、常に自分自身を投じてきた。
(ロジャーが3人でまたレコーディングすることがあるかもしれない、とほのめかしていたようですが、あり得るのでしょうか?)41:01
あり得ることだと思うよ。いつ、どこで、確実にありえるのかどうかはわからないけれど。できたらいいな、とは思う。みんなもそう思うかな?
<おまけ>
今日3月9日にちなみ、スターマス フェスティバルという天文学、宇宙探査、音楽、芸術などを祝うイベントで披露された ‘39。
ブライアンによる曲紹介の日本語訳を。
ブライアン: この曲は1976年頃僕が書いた曲で、当時僕は人類が宇宙へ進出し、ひろがっていくことはよいアイデアだと思っていました。今は、この地球で人間が行ってきた酷いことを思うと自信は持てません。この曲は宇宙船についての曲で、ここにきているみなさんにはアインシュタインの一般相対性理論における時間の遅れについてご説明する必要はないですよね?
(会場から必要とする声)
え、必要なの?
大まかにいうと、光の速さに近いスピードで宇宙へ長旅をすると距離にはひずみが生まれ、さらには自分と地球にいる人々の間で流れる時間が変わってしまうわけです。なので、僕たち宇宙飛行士が新たな天地を求め、光の速さに近い速さで宇宙へ行ったとすると、戻ってきた時には、自分たちには1年位しか感じられなくても。地球では100年が過ぎてしまっているということがあり得るのです。僕は戻ってきたときに、タイムトラベルをしたかのように愛する人々がすでにいなくなっていたとしたら、どんな気持ちになるのだろう、と思いました。この曲を聴きながら、そんな事に思いをはせていただけたらと思います。
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