オックスフォード・ユニオンでのブライアン・メイ博士のお話。
メインの講演は結核菌を持ったアナグマが牛の全体の結核を引き起こす要因であると科学的に証明されていないのにも関わらず、アナグマをランダムに殺すことがいかにおかしいことであるか、また牛の結核予防には予防接種をすべきである、というような内容のお話でした。
それはそれで興味深く、勉強になりました。
ここではQ&Aで心に残ったブライアンの答えをご紹介します。
Queenに関するQ&A。
(あなたのキャリアの中で一番誇りに思う出来事は?)
ブライアン: いくつもあるけれど、おそらくバッキンガム宮殿の屋上で演奏したことかな。
よくみんなに 怖かったか、と聞かれる。
たしかに怖かったよ。
屋根から落ちると思ったかといったら
それはなかった。落ちるとは思わなかったよ。
けど、もし、しくじったらバッキンガム宮殿の屋根から飛び降りようかとは思った。
(会場 笑い)
僕にとってあの演奏は冒険であり、挑戦であり、人生を変えるものだった。
とてつもない恐怖を乗り越え、平静さを保たなければならなかった。
僕があの演奏をしたのにはいくつかの意味が含まれていた。
女王陛下の即位50年のお祝い、ロックミュージックの50年の歴史のお祝い、そしてフレディがいなくなった今、僕が旗手を務めなければならない、などね。
とてもうれしい事ではあったけれど、とにかく怖かったんだ。
無事に終えた後、みんなも写真で見たかもしれないけど、
僕は天に向かって手をあげ、神に感謝した。
どれだけ準備を万全にしても失敗してしまう可能性はあったからね。
数年前にうつ病のクリニックですごいことを学んだんだ。
安らぎの祈り、というものだ。せっかくだからみんなにも説明するよ。
こう言うんだ。
「神よ、」祈りの対象は神でなくても良いのだけど、神とするとわかりやすい。
「崇高なる存在よ、神よ、
私の力ではどうすることもできない事柄を理解する恩恵をお与えください。
私が変えることがでできる事柄を変える勇気をお与えください。
そしてそれらの違いを理解できる英知をお与えください。」
つまり、恐怖を感じたら、自分ができることだけに集中し、残りは神に委ねる、ということなんだ。
これが宗教なのかはわからないが、とても強力な方法なんだよ。
物事を神に委ねたとたん、重荷が取り除かれ、心配をしなくてよくなるんだ。
あの演奏の30分前、オーケストラと僕の演奏がお互いに聞こえる装置、指揮者を見るためのモニター、どれも機能してなかったんだ。
もう一本ワイヤーを引っ張り上げてこなければならない、それには女王の許可が必要だ、なんて大変だったんだ。
たしか本番の約10分前位になって、すべてが整ったんだ。
オーケストラが見れる大きなモニターと自分のギターの音が聞こえるアンプがそばに設置された。
あの恐怖を乗り越えた後は天国にいるかのような気分だった。歓喜の瞬間だった。
純粋に演奏を楽しみ、自分でできる限りの準備はしてきた、という安心を楽しめた。
みんなも試験が控えてるよね。
パニックになるよね。でもできる限りのことをした後は、神に委ねるしかないんだよ。
なぜなら僕たちにはどうすることもできない事柄もあるのだから。
僕の父はよく、こう言ってくれた。
「できる限りの事しかできないんだ。ベストを尽くせばそれで十分だ」とね。
君の質問の答えになったかな? (会場 笑い)
宇宙に関するQ&A
(インスピレーション・マーズ財団のチトー氏が地球代表として火星へ行く年配のカップルの募集を発表しました。興味はありますか?)
ブライアン: 年配のカップル?キミ、僕に向かって言ってるわけじゃないよね?
年配のカップルか。
ああ、つまり、行ったっきりで戻ってこない、ってわけだね。完璧だな。(会場爆笑)
僕はこの地球にはやらなければいけない事がとてもたくさんあると思う。
僕は、我々は宇宙へ一体何をしに行っているんだ、と思う。
過去に勇敢で優秀な宇宙飛行士たちが宇宙へ行ったことは素晴らしいことだと思う、
しかし、僕たち一般の人々が宇宙へ行くことははたして正しいことなのだろうか?
自分たちの欲からほかの惑星を汚し、自分勝手に横暴にふるまう事ははたして正しいことなのだろうか?
宇宙全体に侵入して荒らす権利は我々にはないと思う。
僕たちは地球を良くすることに専念するべきだと思う。
だから、僕はここに残り、確実に改善されるように見ていようと思うよ。