ほんの少しだけ前向きな気持ちや希望を増やすだけで十分だということ - ベン・プラット

トロント国際映画祭での『ディア・エヴァン・ハンセン』のキャストのお話メモです。

まだ映画をご覧になられてない方にはネタバレがあると思いますのでご注意ください。

キャストの方々が演じながらどの曲にも心を動かされ泣いてた、と涙目で語る姿は、すごく微笑ましいし、とても大切に思ってる作品なんだということが伝わってきます。

最後のベン・プラットの言葉は私も日々の生活に役立てたいと思いました。

司会: 1番自分を表現している、自分との繋がりを感じるのはどの曲ですか?

ダニー・ピノ: ベン・プラットが歌う曲全て。
最初の音が聴こえた瞬間から僕の体内の水分量が減ってくんだよね。涙があふれてきて。

“Sincerely Me” は全てを持ち上げてくれる。高校生活って楽しいはずだよね!って。でも彼らの心の状態を思うと胸が痛くて(涙目)…

“So Big /So Small” には打ちのめされる(涙目)。僕は劇場からヨロヨロと出てくるくらいだ。


司会: どうやって本作で演技をこなせたのですか?😂

ダニー・ピノ: 大変だったよ。そしてね、コルトンが歌う希望。コナーに何が起こるかを知ってると…(涙目) 耐えるのがホント大変だったよ。

でも、もし僕に最も影響を与えた曲を選ぶとしたら、映画の中では使われてなかった曲、“To Break in a Glove” だね。

ブロードウェイ版では使われている曲。映画では使われなかったけれど、ベンとのあのグローブのシーンのために覚えたんだ。息子とキャッチボールすることができなかったということを考えると(涙目) …僕にも2人息子がいるしね…あのシーンを心から理解し、演じるためにはこの曲を覚えなければならないと思ったんだ。あのシーンのためには必要だと思ったんだ。

誰も聴くことがないけれど、僕の中に生き続ける曲だ。長くなってしまったけど、それが僕の答えかな。

エイミー・アダムス: “So Big/ So Small” ね。私も母親だから。舞台で観た時は、人前で泣いているのを見られるのが嫌だからずっと涙をこらえていたのだけど、あの曲が始まったら…もうみんなひどいと思ったわ。とても美しく、胸を突き刺されたような気持ちになったわ。

映画版の中の曲なら “For Forever” ね。あの曲の撮影中3日間、私はずっと泣いてたとみんな証言すると思う。

シンシアにとってあの曲はどれだけ大切な意味があったのかと想像するの。ベンの歌声も素晴らしかったし。ほら、また涙が出てきちゃった。自分の理想の友達を想像しているエヴァンは同時に私に息子を取り戻してくれているという、とても深く美しい希望の瞬間だから。

コルトン・ライアン: 良い曲だから”Waving” が好き。エイミー・アダムスと初めて会った時の曲でもあるんだ。

初めての読み合わせの時、向かい側のテーブルにエイミーがいて、僕はボロボロ泣いてたから、見られないように顔を伏せてたんだ。そしたらエイミーが「大丈夫よ、私もだから」と声をかけてくれて僕らはギュッとハグしたんだ。エイミー・アダムスは僕のヒーローだ。

ジュリアン・ムーア: So Big/ So Small には自然に感情移入してしまうわ。最高の母親の歌だから。絶対に、何があってもそばにいる、と子供に言えるなんて、本当に素晴らしいこと。とても心に響くモノローグのような曲ね。

あと、”If I could Tell Her” も私の娘が1番好きな曲だから好き。娘は19歳なんだれど、その年代の子にとって、心から愛している、と男の子が女の子に伝える姿は心を打つものがあるみたい。まるで自分の存在を見てもらえてる気がするように。娘があの曲を聴くときに私に向ける表情に私は感動するの。

司会者: 最後にベンとスティーブン。1番心を動かされる曲はどの曲ですか?

ベン・プラット: 何年もこのミュージカルにかかわってきて、どの曲も僕の身体に染み込んでいる。で

も、この映画化で新たな発見があったのは コナーが最後に歌う ”A Little Closer”だね。僕自身も不安に襲われることも多く、なかなか克服できないんだよね。あの曲の歌う希望はなんというか、画期的だと思う。大きな一歩や、ジャンプしなければいけないのではなく、ほんの少しだけ前向きな気持ちや希望を増やすだけで十分だ、ということ。あの曲に出会ってからは、苦しい時はあの曲を思い出してる。

ダニーも言っていたように、希望を持てなくなってしまったコナーがそういうメッセージを歌う事ができていた、そして残された人々にもそんなメッセージを与える事ができるのは物凄くパワフルなことだと思うんだ。舞台と映画版の違いの中で、最も好きなものの1つだ。コルトンがとても、とても美しく歌ってくれてるしね。

ジェフ・ゴールドブラムの探究

ディズニー+とナショジオの共同制作の番組ではジェフ・ゴールドブラムが世界を探究しますが、ここではジェフ・ゴールドブラムを探究して知った事を少しシェアしていきたいと思います。

《意外だけど、ジェフの仕事に対する真面目な姿勢》

いくつかのインタビューでジェフは医師であったお父さんから学んだ仕事に対する真摯な姿勢について話してます。

(素晴らしいキャリアをお持ちです。野心家には見えませんが、そういうものはありましたか?)

ジェフ・ゴールドブラム: 野心と言うかはわからないけど、若い頃から「なんとしても俳優を生業にしたい」、という情熱に燃えていたんだ。僕は俳優という職業の悦びに満たされていた。ただ、クレイジーな思いであったし、その先どうなるかはわからなかった。

そのまっすぐな気持ちがキャリアに繋がったかはわからないけど、ただ、医師だった父親から学んだ仕事に対する真剣な姿勢は持ち続けてきた。

今でも、毎日ピアノも練習するし、するべき仕事をこなし、役に対しての準備も入念にする。毎朝、子供達を起こす前にトレーニングもするし、朝ごはんを出したり、学校に送って行ったりもする。

どうだろう。僕は結構仕事には真面目に一生懸命取り組む。そういう物事に対する姿勢がもしかしたら、役に立ってるのかもしれないかな?わからないけどね。

https://podcasts.apple.com/jp/podcast/jeff-goldblum-hugh-dennis-dawn-oporter-ben-foden/id1450650136?i=1000455697849

《『マイティ・ソー: バトルロイヤル』の役柄グランドマスターについて》

ジェフ: 何十億年も彼は生きてきて、人が行き来するのを見てきた。彼は人々を愛し、とても興味を持っている。また彼らと楽しむのが大好きだ。

スーパーパワーを持ち、不死である彼は、人がいずれは死にゆく事を知るが故にそれほど感傷的ではなく、利己的で自分の好きなようにしてるんだ。


youtu.be/R70hulxi3R8

1:05あたりからのジェフのグランドマスターについての説明。こちらまで切なくなってくる。不死である事の辛さとそれを超えた部分まで理解して演じていたんだね。

Netflix『ル・ポールのドラァグ・レース』シーズン12のエピソード9はジェフ・ゴールドブラムがゲスト。

タイカ・ワイティティ ゲスト回ルッソ兄弟の映画学校

ルッソ兄弟のフィルムスクール。

タイカ・ワイティティ氏がゲストの回を観ました。すごく興味深く面白い!

ルッソ兄弟は本当に本気でオンラインの映画学校をやってくれてるんだ、と思いました。

ルッソさんやワイティティさんのお話で特に興味深かった部分をメモしてたら長くなったので、ブログにあげることにしました。

2人は主題の映画『フラッシュ・ゴードン』について話しながら、作品のいろいろな部分を切り取りながら、構造や、2人の映画作りについても説明していきます。

ジョー・ルッソ: 『フラッシュ・ゴードン』ほど観た映画はないと思う。ビデオで発売された時、僕は宿題をしたりする時にBGMとして流したりもしてたよ。

ルッソ: 時間が限られてる中で、ここ7年くらいマーベルの映画作る際、アンソニーと僕は入念に構成を立てる事を重要視している。

まずはテーマ、数日間はテーマについて話し合う。ボードに大きく書いて、自分たちがこの映画で何を伝えたいかを明確にするんだ。

ワイティティ: 僕は映画の構成を立てるのが少し苦手だから、こうしてピザ・フィルム・スクールに参加できてよかったよ。笑

ルッソ: 君の構成は本能的だよ。ちゃんと構成はあるよ。君のどの映画にも構成がある。全部観たから僕はわかるよ。

タイカ: 映画を作る時、たいがい僕は物語の終わり方、そして始まりから考え始める。

自分が観たいもの、観たいシーン、こういうキャラクター達がこういう関わり方をするのって観たことないから観たいな、とか…そういうアイデアだけ。その先のストーリーは何も考えてなかったりもするけど、カッコいい場面を頭の中で作りあげたり、それらを別々にメモに書き出して、いろいろ動かし、流れをつけて繋げてみるんだ。最後は気持ちが良いエンディングになるようにもする。

何々についての映画を作りたい、と作り始めることはあまりなく、何かちょっとしたきっかけから始まるんだ。音楽とか、こういう衣装をつけたキャラクター、とか。

そこから発展することもあるし、そのままになることもある。

でも、5年後とかに、あ、あの5年前に考えたキャラクター、ここで使えるな、とその時に作っている映画に加えたら、完璧にフィットしたりするんだ。無駄なアイデアってないよね。

『ソー:ラグナロク』に関しては、10才の子達が観たいと思うであろうものを全て投入したんだ。カラフルで力強くエネルギーに満ちた作風、鹿の角をかぶった女性、巨大オオカミ、ゾンビの軍隊、インクレディブル・ハルク、ソー、女戦士、そして突然のジェフ・ゴールドブラム!

「こういう15の要素を投入した映画を作りたい」、と言ったら絶対却下されるよね。でも、マイティ・ソーでは完璧に調和がとれたんだ。

キルグレイヴのアクセント

ジェシカがジュエルという名前でヒーローやってた時の絵とテナントさん。ドラマ版ではヒーローを引退してからキルグレイヴと出会う。

キルグレイヴに関するメモ、再び。

このUSA TODAYの記事のテナントさんの言葉によると彼はキルグレイヴのイングリッシュアクセントには意図的に一貫性を持たせなかったというのとです。

デイヴィッド・テナント: (役を演じるにあたっての) イングリッシュ・アクセントの問題点はどのアクセントにしても、下層、中流、上流階級のどこかに属するニュアンスが出てしまうこと。

キルグレイヴに関しては、それがはっきりわからないようにしたかった。キルグレイヴがポッシュな上流階級の子だと思わせなくもなかったし、貧しい家庭の出とも思われないようにしたかった。

自分自身を作り上げた、自分を再構築した人間にしたかった。ドラマが進むにつれて彼の生い立ちがわかっていくのだけど、それまではできる限り謎に包んでおきたかったんだ。

“One of the problems with English accents is that every one of them has some kind of connotation of class, whether its lower, middle or upper. I wanted to do something that was a little bit indefinable, I suppose, with Kilgrave. You didn’t want to think he was a posh boy but neither did you want to know that he came from humble origins necessarily. You wanted to get the sense of someone who has created himself, who had rebooted his existence. As the series progresses, we do learn a little bit of his backstory and I wanted to keep that shrouded in mystery as long as I possibly could.”

https://www.usatoday.com/story/life/entertainthis/2015/11/19/david-tennant-jessica-jones-villain/76054446/

こちらの記事も合わせてどうぞ。

デイヴィッド・テナントの語るキルグレイヴ

テナントさんのキルグレイヴ学 Study of Kilgravism

ジェームズ・コーデンの #HomeFest。「少し悲しくなったり、不安になったりしてもいいんだ」

今日は観てくれてありがとう。

僕にとってもみんなにとってもいい息抜きになった事を願います。

ここ数週間、とても恐怖を感じてきました。正直、自分自身思っていた以上にとてもキツい日々でした。

たびたびどうしようもない不安に襲われたり、イギリスにいる家族や愛する人々のことを想うと悲しみが胸にこみ上げてきたり。

自分でも理解できない、どうすることもできないという思いと悲しみの中で押しつぶされそうになりました。

でも1つわかったことがあります。

こうして少し悲しくなったり、不安になったりしてもいいんだ、それでいいんだ、ということです。

今できる1番良いことは、落ち着いて、気持ちを前向きなことへ向けるということ。

自分と同じような気持ちで苦しんでいる人のために何かできることを考えることです。

僕もこうして今夜、みんなに話しかける事ができて、心が少し軽くなりました。

友達や家族とFaceTimeを使って話したり、自分と同じように苦しんでいるかもしれないと思う誰かに連絡したりすることが今できる最善のことだと思います。

僕たちは絶対に乗り切れるから。

この番組もそのために放送してます。大好きなみんなと想いを分かち合い、大好きな音楽を分かち合う。

遠く離れていればいるほど、僕たちは1つです。

今夜、この番組をどう締めくくろうか考えていたとき、何度もミュージカル “Dear Evan Hansen” の”You will be found”というこの曲か頭をよぎりました。この曲は僕が自分自身で感じていることそして、今、みんなに伝えたいことがまとめられていると感じます。

ベン・プラットと “Dear Evan Hansen” のキャストによる “You will be found”です。

またすぐにお会いしましょう。

私はNetflixのドラマ『ザ・ポリティシャン』から歌も演技も上手いベン・プラットのファンになりました。彼が主演をつとめたブロードウェイ ミュージカル “Dear Evan Hansen”のサントラに惚れ込み、脚本や小説も読みました。

“Dear Evan Hansen”は物語としても心に響き、素晴らしい作品です。楽曲もどの曲も涙せずにはいられないです。 下に“You Will Be Found”の今回の動画で歌われた部分をざっと訳しました。 ( )の部分は動画では省かれていますが、内容が掴みやすいと思いましたので残しました。

You Will Be Found

Have you ever felt like nobody was there?

ひとりぼっちだと感じたことはない?

Have you ever felt forgotten

in the middle of nowhere?

どこかに1人とり残されてしまったと感じたことはない?

Have you ever felt like

you could disappear?

このまま自分が消えてしまっても誰も気が付かないと感じたことはない?

Like you could fall

and no one would hear

自分が倒れても誰も気が付かないかも、って

(Well, let that lonely feeling wash away

そんな孤独な気持ちに流されてはいけないよ

Maybe there’s a reason to

believe you’ll be okay

大丈夫、って思える理由がきっとあるから

Cause when you don’t feel

strong enough to stand

You can reach, reach out your hand

もう立ちあがれないと思っても、手を伸ばせばいいんだ)

And oh, someone will come running

And I know they’ll take you home

そしたら、誰かが駆け寄ってきてくれる

そしておうちに連れて帰ってくれるよ

Even when the dark

comes crashing through

When you need a friend to carry you

And when you’re broken on the ground

You will be found

暗闇に押しつぶされて、

友達の支えが必要な時、

君が地面に傷つき倒れていたとしても、

誰かが見つけてくれるから

So let the sun come streaming in

Cause you’ll reach up

and you’ll rise again

Lift your head and look around

You will be found

だから、太陽の光を浴びて

手を伸ばしてみて

もう1度立ち上がれるよ

頭をあげて、周りを見回してみて

誰かが気がついてくれるから

You are not alone

君はひとりぼっちじゃない

テナントさんのキルグレイヴ学 Study of Kilgravism

https://getyarn.io/yarn-clip/bab2860b-6431-495c-8485-b7c7cfd6c529

リンクは音声付き↑

ジェシカ・ジョーンズで印象に残ってる台詞の1つ

Well, I’m sorry. Are you a professor of Kilgravism?

(キルグレイヴ学の教授なの?)

ということで、私もキルグレイヴ学を学ぶためにキルグレイヴに関するデイヴィッド・テナントさんのインタビューで内容の被らないものを訳してツイートしたりしています。

今日見つけたものはテナントさんの語る “キルグレイヴのいる世界” についてのお話と言えるかな。

もし

デイヴィッド・テナントの語るキルグレイヴ。

をまだ読まれていなければ先に上のリンクからそちらを読んでいただければと思います。

キルグレイヴの能力の使い道に関して被っている内容をほんの少しですが省きましたので。

(キルグレイヴが『ジェシカ・ジョーンズ』に本格的に登場するのは数話後からでしたが、どう感じましたか?)

デイヴィッド・テナント: ああいう積み重ねられた背景があってからの登場はなかなか良いものだね。ただその分、期待に応えられるか、という心配はあったよ。

良い脚本やジェシカの体験を通して描かれたという事、キルグレイヴの恐怖はジェシカ特有のものだった事やこのドラマ自体がジェシカの観点から見た物語だった事などのおかげで上手くいったよ。

数週間、クリステン達キャストの近くにはいたけれど、ちらっと見える影や紫色のスーツ姿、電話の声などだけの出演があっただけだった。だから本格的に登場する時には確かにプレッシャーがあったよ。

とはいえ、ファンタスティックなキャラクターで、並外れた人物で特別な世界の中で特別な場所を占める彼を演じるのはとてもやりがいがあったよ。

(とてもダークな心理を演じるためにどんなアプローチをしましたか)

キルグレイヴと他のスーパーヴィランとの違いは世界を支配したり、世界を揺るがすような事をやろうとはしてない点だ。彼は自分の能力をそういった目的では使わないという選択をしている。彼は単に自分の望む事の実現、ラグジュアリーな生活と彼に黙従する世界が欲しいだけ。それが余計にどこか邪悪に映る。そんな彼の世界に遭遇してしまったジェシカは物凄く不運だね。

彼は波風を立てたり、目立ちたくない。人々に邪魔されず、放っておいて欲しいと思っている。だから、本当に、彼の通り道に迷いこんでしまうという運命は残酷だと思う。

それがどこか余計にわかりやすく現実味がある。もし、現実世界に彼がいたとしても、実際に遭遇するまでは彼には気づかないのさ。

ジェシカ・ジョーンズの世界にはスーパーパワーを持った人物はいても、彼らは僕らとほとんど変わらない世界に存在しているんだ。

僕はアベンジャーズやアイアンマン、ファンタジーの世界やコミックの世界も大好きで魅力を感じる。けれど、キルグレイヴの世界は僕らのいる世界に近く、余計に邪悪さを感じるよね。ヒーロースーツなどが無いから僕らと同じ人間で、彼らが存在するのはどこか僕らのすぐそばにある世界だと感じ。余計に怖くゾッとするのだと思う。

彼の持つ能力は並外れたすごいものだけれど、彼にとってその能力がどんな意味を持ち、それがどんな心理をもたらすのかを出来る限り理解し、忠実に表そうとした。

街を支配しようとしたりしないからこそ、彼の思いは、何というか、より理解しやすいものだと思う。彼と同じ恐ろしい能力を持ったとしたら、人は彼と同じような事をしてしまいたくなるのではないかと思う。

現実味を持たせる事。それが僕が役者としてこの役を演じる上でやろうとしたこと。まあ、どんな役柄でもそうではあるけれど。

空想上の世界だけど、僕らのすぐそばにあるより残酷な世界。ウサギの巣穴に落ちてしまったらある世界のような感じかな。

続く…

続き 2010/8/22 追記

デイヴィッド・テナント: 役を演じる時には白か黒かどちらかでは考えないようにしている。

ドクターだって真っ直ぐなヒーローではなく、明確に定義するのは難しいアナーキーな面を持っているし、ブロードチャーチのハーディも正義の味方ではあるけど、気難しい人物ではあるよね。少なくともみんなに好かれるタイプではないよね、特に同僚には。

どんな役柄でもグレーの部分を探し、善か悪か2極化では表さないようにするわけだ。

キルグレイヴはかなり救いようの無い男だけど、演じる上ではそうは考えないよ。

少なくとも彼自身は自分が悪だとは思っていないから。彼がジェシカにした事をジェシカが責め立てる時、彼は驚くのだから。彼女が望んでいなかったとは思ってもみなかった事だったんだ。彼の世界観はとても歪められているから。誰もが彼の言う通りにするから、心から望んでしているのか、無理やりさせられているのか判断がつかないんだ。

自分は悪くないと信じている彼を演じるためには彼のその心理に入り込んで演じるしかない。

本気のキルグレ学。

『グッド・オーメンズ』シーンさんとテナントさんのお気に入り場面

podcastを聴いていたら、思わずメモしたくなるシーンさんの発言があったので。

https://podcasts.apple.com/jp/podcast/front-row/id134045372?i=100044008

(グッド・オーメンズでお二人のお気に入りの場面は?)

デイヴィッド・テナント: 僕ら2人ともエピソード3の冒頭のシークエンスが気に入ってると思う。(訳注: We という主語を使い2人分を代弁するテナントさん)

アジラフェルとクロウリーからみた世界の歴史が描かれているんだ。

(2人がいろんな時代で会うシークエンスですね)

DT: その通り。

エデンの園から始まって、ノアの箱舟、磔刑、フランス革命、歴史上の出来事を点々とね。何千年もの間に2人の関係が深まっていく様子が観れるんだ。

(お互いをサポートしたり、助け合ったりしてましたよね)

DT: その通り。

マイケル・シーン: あとね、個人的に僕は2人の関係、サブテキストに愛や絆なんかが汲み取れる瞬間が気に入っている。

言葉や表面には出されないし、2人とも否定するけれど、隠された部分が許されるギリギリまで表面化する場面が好きだね。

そういう場面をデイヴィッドと演じられた事ができてとても良かった。

バンドスタンドでの場面はいろいろな事がギリギリまで表面化する場面なんだけれど、楽しかったよ。

フレディが変えた世界。ブライアンとロジャーのインタビュー訳

ずっーと前から訳したいと思っていたインタビューです。

思うところがあって今日、合間に訳しました。

ロジャーが「何があっても彼に味方する。もう彼は自分をかばえないんだから」と言ったテレビ番組でのインタビューの後半部分です。

(前半部分は訳されている方がいらっしゃったようですので)

なかなか自分の納得できる言葉になっていない部分もあるのですが、能力不足です。ごめんなさい。先に謝っておきます。

8:10あたりからです。

(フレディの死がテレビや新聞などのセンセーショナルな追悼文だけで終わるとしたら残念すぎますよね。何かもっとあるべきですよね。)

ブライアン: もっともっとある。たくさん伝えるべき事もある。ここ数日で世界中からたくさんの愛が注がれているのを感じている。 フレディは世界を変えたし、彼の死も世界を変え始めたと思う。

まずこのボヘミアン・ラプソディのレコードは彼を追悼し、再リリースされる。全ての収益金はエイズのチャリティに寄付される。

ロジャー: このレコードは両A面で、もう一つの曲は (These are the) Days of Our Livesで僕たちが作った最後のミュージックビデオで、歌詞にも良い繋がりがあると思う。

(Show Must Go On という曲もありますが、やはり意図的にそういう意味が含まれていたのでしょうか?)

ブライアン: 振り返ると、ここ数年そう思える曲は多くあると思う。でも1つだけでなく、様々な意味合いが含まれてもいるんだ。

(彼が世界を変えた、というのは大げさでは、という人々もいると思いますが、どう答えますか?)

ブライアン: 1つの例を挙げれば、彼の存在がゲイである人々への人々の接し方を変えたという事だと思う。僕は本当にそうあって欲しいと思う。

彼の個人的な事だったから僕らにとっては今までは少し話題にしにくいことだった。

彼は強く、ものすごく才能があり、考えられるどんな面においても素晴らしく、そして彼はゲイである事もかなりオープンにはしていた。彼はゲイの人々への人々の考え方を変えたと思うよ。

それにもういい加減、時代は変わるべきだよね。

昨日新聞に ”誰々がゲイであることを認めた”、と書かれてるのを目にしたけれど、認めた、という表現をすること自体が中傷という罪を犯しているわけで、そんな事が何事もなかったかのように許させるのはおかしい。

僕たちはもう支援に回れるようになった。ゲイのためのヘテロ(同性愛者をサポートする異性愛者の意)とでも、何とでも呼ぶといいさ。

(バンドの仲間として、このような機会を何かポジティブな事に変換したいと思いませんか?)

ブライアン: たくさんのポジティブな事が起こっているよ。

ロジャー: 全くもってそれがフレディが望んだ事なんだよ。フレディは残された時間に自らの事を公表することがポジティブな何かに繋がる事を望んだんだ。僕たちもその意志を受け継いでいこうとしている。来年、彼の名前の元、何か大きなイベントを開催して多くの寄付を集めようと思っているんだ。

(リードヴォーカルにフレディなしのクイーンのパフォーマンスとなるわけですか?)

まあそうなるだろうね。

(どういう風にされるのですか?)

ブライアン: 詳しく考えてはないよ。僕たちはまだ悲しみの第1段階も乗り越えてないよ、想像できると思うけど。当面は今後の活動については棚上げして、今やらなければならない事をやろうと決めたんだ。

フレディは素晴らしいプラットフォームを残してくれたから、それを使ってエイズの基金を集められると考えている。多くの人にエイズを知ってもらうための啓蒙活動もできると思っている。今もこうして行っているようにね。

デイヴィッド・テナントの語るキルグレイヴ。

『グッド・オーメンズ』を観てから宿題をこなすようにデイヴィッド・テナントさんの作品を毎日観てます。

私はほぼ12thと11thドクターのシリーズしか観てなかったので、テナントさん演じる10thの『ドクター・フー』や『ブロードチャーチ』、さらには現在Dlifeで放送中のディズニーアニメ『ダックテイルズ』(テナントさんはスコティッシュアクセントを活かしたスクルージおじさんの声で出演)。

そしてわれらがNetflix制作のマーベルのドラマ『ジェシカ・ジョーンズ』。

『ジェシカ・ジョーンズ』でのテナントさんの役柄はかなりやばいサイコパスでしたが、愛おしくならずにはいられないキャラクターでした。特に9話を観た後には。

下記のキルグレイブという役柄についてのテナントさんの言葉を聞いたらさらにキルグレイブは愛さずにはいられないキャラクターとなりました。

(マインドコントロールできる役ですが、実際この能力を欲しいと思いますか?)

デイヴィッド・テナント: はじめは誰もがそう思うよね。周りの人々を従わせられる力。誰だって欲しいさ。

でもこの能力はその恵みと同じだけ呪いでもあるんだよ。

どうやって生きていけると思う?周りの人々の行為が心からのものなのかわからなかったり、普通の会話すらままならない日常。どうやって倫理観を手に入れられる?

(でも倫理観なんてヴィランには関係ないでしょう?)

彼は自分の事をヴィランとは思ってないよ。ヴィランと思われてる人物もほとんどは自分がヴィランだとは思っていないだろうし。

ドナルド・トランプだって自分がヴィランだとは思ってないだろう?(会場笑)

(訳注: 結構キルグレイブの本質に迫る話をしているけどちょっと司会者があまり真面目に受け止めてくれてないのを察して笑いもとったみたいに見えました。)

僕はね、彼は子供の頃から言葉にした事が実現されてしまう生活をしてきたから、何が正しいかそうでないかを学ぶすべがなかったのだと思う。

もちろん、彼は明らかに非難されるべき行いを犯している。けれど彼はそれすら理解できないんだ。彼は自分の能力の呪いに囚われた囚人なんだ。

2019/8/9 追記:

テナント: キルグレイブは世界的権力や国連を乗っ取る事や核ミサイル、もしくはアスガルド征服を望んでるような昔ながらのスーパーヴィランではないんだ。

何が恐ろしいかって、彼は自分の望む事を人にさせる事ができ、誰もそれを防ぐ手立てを持たないという事。

弁解の余地が無い彼を弁解すると、彼は自分が言ったから人がそうしてるのか、その人が自分で望んでそうしているのかの区別がつけられない。

彼が示唆するとそれは実現されてしまう。だから彼にとっては人が意に反して行動している事を理解するのはとても難しいんだ。

彼は自分の事だけを考えていて、普通の人間の事はよく理解出来ていないのではないかと思うし、人の気持ちを理解する事も出来ないのだと思う。

特に怖いのはたとえ、彼より強くても、彼より大型の銃を持っていたとしても、彼は心を支配し、全てのコントロールを奪ってしまうという点だよね。

僕自身は絶対遭遇したくはないね。

—-

テナントさんの出演する『ジェシカ・ジョーンズ』はシーズン1全話とシーズン2エピソード11です。

カタカナ表記について: Netflixの字幕ではキルグレイブなのでキルグレイブと打っていましたが、キルグレイヴの方が自然なので途中から変更しました。先に打ったものはそのままにしてあります。

キルグレイヴについてこちらも→

テナントさんのキルグレイヴ学 Study of Kilgravism

グッド・オーメンズ インタビュー訳

Amazon プライムで配信されている6話のドラマ「グッド・オーメンズ」。まんまとはまりました。

(一緒に仕事をするのは予想した通りでしたでしょうか?)
マイケル・シーン: そうだね。ずっと言ってるけど僕はデヴィッドの作品のファンだった。
デヴィッド・テナント:僕も同じさ。
マイケル: でも実際のところは共演してどうそれが作用していくかはわからなかった。僕たちは元々大きく違うわけでもなかったし。俳優としては同じような役柄を演じたりする。それが今回どちらも天使として生まれたという共通点にうまく作用してくれたんだと思う。こういう似た境遇という関係性は良いものではあるけれど、必ずうまく作用するとは限らないんだ。初めての読み合わせの時に「なるほど、デヴィッドの立ち位置はそこなのか、じゃあ僕はこちら側で」とダンスの役割のようなものをつかんだ。あとはリズムに任せて演じていったら息が合っていたんだ。ぴったり息が会っていたと思わない?
デヴィッド: 僕は予想した通りだったと思う。マイケルはクリエイティヴな俳優だから、こんな感じの演技をするんじゃないかな、と想像していたんだ。
マイケル:デヴィッドは照れてしまうかもしれないけど、前に“この役を演じる上で一番難しかった事は”と聞かれたことがある。
デヴィッドと共演しているときに彼の演技に「いや~、さすが上手いなあ」と見とれて自分の役を忘れないようにすることが一番大変だった。あと、すごく良かったのはね、ありきたりの表現かもしれないけれど、テニスのラリーのように相手からのボールを前後に打ち返し続けるような楽しさだったことだね。
中略


マイケル:アジラフェルとクロウリーはお互いをとてもよく補完しあう。僕たちが役柄になりきろうとすればするほど二人の関係はより良いものになっていったんだ。それがこの物語や二人の関係の原動力となった。
デヴィッド: それが直接物語に入りこんでいったよね。
マイケル: 僕は早い段階でアジラフェルはクロウリーを愛していると確信していたからより簡単だった。アジラフェルにとってはお互いは真逆の存在だし、クロウリーのやる事は認められないから難しいことなんだ。でもそれが逆に役者としては「この場面における自分の目標は、君を(デヴィッドの方を向いて)どれだけ愛しているかがばれないようにすること。そして君を切望するようにただ見つめる事」みたいに考えられたからね。

デヴィッド: クロウリーの方は完全にアジラフェルを愛している。でもその事実を彼は気に入らないし、苛立ってしまう。つまり二人とも同じような思いを経験してる。

マイケル: 素敵なラブストーリーみないなものがあるんだと思う。原作の多くのファンの多くもこの二人のキャラクターの興味深いラブストーリーが好きだと思う。はっきり書かれてはいないけれど、見て取れるよね。

中略

(今までに演じられた役でグッド・オーメンズでの役と似ている役柄はありますか?)

デヴィッド: いい質問だね。3日くらい前に教えてもらえていればしっかりとした回答ができたかもしれない。思い浮かぶのはピーター・ヴィンセントくらいかな。『フライトナイト』の。同じような格好をしてる。彼はロックな男で自分自身が本当にクールだと思っている。ホントは全くクールじゃないのにね。横暴っぽい外見だけど内面は優しんだ。クロウリーにもそういう部分があるよね。

(『フライトナイト』より)