キルグレイヴのアクセント

ジェシカがジュエルという名前でヒーローやってた時の絵とテナントさん。ドラマ版ではヒーローを引退してからキルグレイヴと出会う。

キルグレイヴに関するメモ、再び。

このUSA TODAYの記事のテナントさんの言葉によると彼はキルグレイヴのイングリッシュアクセントには意図的に一貫性を持たせなかったというのとです。

デイヴィッド・テナント: (役を演じるにあたっての) イングリッシュ・アクセントの問題点はどのアクセントにしても、下層、中流、上流階級のどこかに属するニュアンスが出てしまうこと。

キルグレイヴに関しては、それがはっきりわからないようにしたかった。キルグレイヴがポッシュな上流階級の子だと思わせなくもなかったし、貧しい家庭の出とも思われないようにしたかった。

自分自身を作り上げた、自分を再構築した人間にしたかった。ドラマが進むにつれて彼の生い立ちがわかっていくのだけど、それまではできる限り謎に包んでおきたかったんだ。

“One of the problems with English accents is that every one of them has some kind of connotation of class, whether its lower, middle or upper. I wanted to do something that was a little bit indefinable, I suppose, with Kilgrave. You didn’t want to think he was a posh boy but neither did you want to know that he came from humble origins necessarily. You wanted to get the sense of someone who has created himself, who had rebooted his existence. As the series progresses, we do learn a little bit of his backstory and I wanted to keep that shrouded in mystery as long as I possibly could.”

https://www.usatoday.com/story/life/entertainthis/2015/11/19/david-tennant-jessica-jones-villain/76054446/

こちらの記事も合わせてどうぞ。

デイヴィッド・テナントの語るキルグレイヴ

テナントさんのキルグレイヴ学 Study of Kilgravism

テナントさんのキルグレイヴ学 Study of Kilgravism

https://getyarn.io/yarn-clip/bab2860b-6431-495c-8485-b7c7cfd6c529

リンクは音声付き↑

ジェシカ・ジョーンズで印象に残ってる台詞の1つ

Well, I’m sorry. Are you a professor of Kilgravism?

(キルグレイヴ学の教授なの?)

ということで、私もキルグレイヴ学を学ぶためにキルグレイヴに関するデイヴィッド・テナントさんのインタビューで内容の被らないものを訳してツイートしたりしています。

今日見つけたものはテナントさんの語る “キルグレイヴのいる世界” についてのお話と言えるかな。

もし

デイヴィッド・テナントの語るキルグレイヴ。

をまだ読まれていなければ先に上のリンクからそちらを読んでいただければと思います。

キルグレイヴの能力の使い道に関して被っている内容をほんの少しですが省きましたので。

(キルグレイヴが『ジェシカ・ジョーンズ』に本格的に登場するのは数話後からでしたが、どう感じましたか?)

デイヴィッド・テナント: ああいう積み重ねられた背景があってからの登場はなかなか良いものだね。ただその分、期待に応えられるか、という心配はあったよ。

良い脚本やジェシカの体験を通して描かれたという事、キルグレイヴの恐怖はジェシカ特有のものだった事やこのドラマ自体がジェシカの観点から見た物語だった事などのおかげで上手くいったよ。

数週間、クリステン達キャストの近くにはいたけれど、ちらっと見える影や紫色のスーツ姿、電話の声などだけの出演があっただけだった。だから本格的に登場する時には確かにプレッシャーがあったよ。

とはいえ、ファンタスティックなキャラクターで、並外れた人物で特別な世界の中で特別な場所を占める彼を演じるのはとてもやりがいがあったよ。

(とてもダークな心理を演じるためにどんなアプローチをしましたか)

キルグレイヴと他のスーパーヴィランとの違いは世界を支配したり、世界を揺るがすような事をやろうとはしてない点だ。彼は自分の能力をそういった目的では使わないという選択をしている。彼は単に自分の望む事の実現、ラグジュアリーな生活と彼に黙従する世界が欲しいだけ。それが余計にどこか邪悪に映る。そんな彼の世界に遭遇してしまったジェシカは物凄く不運だね。

彼は波風を立てたり、目立ちたくない。人々に邪魔されず、放っておいて欲しいと思っている。だから、本当に、彼の通り道に迷いこんでしまうという運命は残酷だと思う。

それがどこか余計にわかりやすく現実味がある。もし、現実世界に彼がいたとしても、実際に遭遇するまでは彼には気づかないのさ。

ジェシカ・ジョーンズの世界にはスーパーパワーを持った人物はいても、彼らは僕らとほとんど変わらない世界に存在しているんだ。

僕はアベンジャーズやアイアンマン、ファンタジーの世界やコミックの世界も大好きで魅力を感じる。けれど、キルグレイヴの世界は僕らのいる世界に近く、余計に邪悪さを感じるよね。ヒーロースーツなどが無いから僕らと同じ人間で、彼らが存在するのはどこか僕らのすぐそばにある世界だと感じ。余計に怖くゾッとするのだと思う。

彼の持つ能力は並外れたすごいものだけれど、彼にとってその能力がどんな意味を持ち、それがどんな心理をもたらすのかを出来る限り理解し、忠実に表そうとした。

街を支配しようとしたりしないからこそ、彼の思いは、何というか、より理解しやすいものだと思う。彼と同じ恐ろしい能力を持ったとしたら、人は彼と同じような事をしてしまいたくなるのではないかと思う。

現実味を持たせる事。それが僕が役者としてこの役を演じる上でやろうとしたこと。まあ、どんな役柄でもそうではあるけれど。

空想上の世界だけど、僕らのすぐそばにあるより残酷な世界。ウサギの巣穴に落ちてしまったらある世界のような感じかな。

続く…

続き 2010/8/22 追記

デイヴィッド・テナント: 役を演じる時には白か黒かどちらかでは考えないようにしている。

ドクターだって真っ直ぐなヒーローではなく、明確に定義するのは難しいアナーキーな面を持っているし、ブロードチャーチのハーディも正義の味方ではあるけど、気難しい人物ではあるよね。少なくともみんなに好かれるタイプではないよね、特に同僚には。

どんな役柄でもグレーの部分を探し、善か悪か2極化では表さないようにするわけだ。

キルグレイヴはかなり救いようの無い男だけど、演じる上ではそうは考えないよ。

少なくとも彼自身は自分が悪だとは思っていないから。彼がジェシカにした事をジェシカが責め立てる時、彼は驚くのだから。彼女が望んでいなかったとは思ってもみなかった事だったんだ。彼の世界観はとても歪められているから。誰もが彼の言う通りにするから、心から望んでしているのか、無理やりさせられているのか判断がつかないんだ。

自分は悪くないと信じている彼を演じるためには彼のその心理に入り込んで演じるしかない。

本気のキルグレ学。

『グッド・オーメンズ』シーンさんとテナントさんのお気に入り場面

podcastを聴いていたら、思わずメモしたくなるシーンさんの発言があったので。

https://podcasts.apple.com/jp/podcast/front-row/id134045372?i=100044008

(グッド・オーメンズでお二人のお気に入りの場面は?)

デイヴィッド・テナント: 僕ら2人ともエピソード3の冒頭のシークエンスが気に入ってると思う。(訳注: We という主語を使い2人分を代弁するテナントさん)

アジラフェルとクロウリーからみた世界の歴史が描かれているんだ。

(2人がいろんな時代で会うシークエンスですね)

DT: その通り。

エデンの園から始まって、ノアの箱舟、磔刑、フランス革命、歴史上の出来事を点々とね。何千年もの間に2人の関係が深まっていく様子が観れるんだ。

(お互いをサポートしたり、助け合ったりしてましたよね)

DT: その通り。

マイケル・シーン: あとね、個人的に僕は2人の関係、サブテキストに愛や絆なんかが汲み取れる瞬間が気に入っている。

言葉や表面には出されないし、2人とも否定するけれど、隠された部分が許されるギリギリまで表面化する場面が好きだね。

そういう場面をデイヴィッドと演じられた事ができてとても良かった。

バンドスタンドでの場面はいろいろな事がギリギリまで表面化する場面なんだけれど、楽しかったよ。

デイヴィッド・テナントの語るキルグレイヴ。

『グッド・オーメンズ』を観てから宿題をこなすようにデイヴィッド・テナントさんの作品を毎日観てます。

私はほぼ12thと11thドクターのシリーズしか観てなかったので、テナントさん演じる10thの『ドクター・フー』や『ブロードチャーチ』、さらには現在Dlifeで放送中のディズニーアニメ『ダックテイルズ』(テナントさんはスコティッシュアクセントを活かしたスクルージおじさんの声で出演)。

そしてわれらがNetflix制作のマーベルのドラマ『ジェシカ・ジョーンズ』。

『ジェシカ・ジョーンズ』でのテナントさんの役柄はかなりやばいサイコパスでしたが、愛おしくならずにはいられないキャラクターでした。特に9話を観た後には。

下記のキルグレイブという役柄についてのテナントさんの言葉を聞いたらさらにキルグレイブは愛さずにはいられないキャラクターとなりました。

(マインドコントロールできる役ですが、実際この能力を欲しいと思いますか?)

デイヴィッド・テナント: はじめは誰もがそう思うよね。周りの人々を従わせられる力。誰だって欲しいさ。

でもこの能力はその恵みと同じだけ呪いでもあるんだよ。

どうやって生きていけると思う?周りの人々の行為が心からのものなのかわからなかったり、普通の会話すらままならない日常。どうやって倫理観を手に入れられる?

(でも倫理観なんてヴィランには関係ないでしょう?)

彼は自分の事をヴィランとは思ってないよ。ヴィランと思われてる人物もほとんどは自分がヴィランだとは思っていないだろうし。

ドナルド・トランプだって自分がヴィランだとは思ってないだろう?(会場笑)

(訳注: 結構キルグレイブの本質に迫る話をしているけどちょっと司会者があまり真面目に受け止めてくれてないのを察して笑いもとったみたいに見えました。)

僕はね、彼は子供の頃から言葉にした事が実現されてしまう生活をしてきたから、何が正しいかそうでないかを学ぶすべがなかったのだと思う。

もちろん、彼は明らかに非難されるべき行いを犯している。けれど彼はそれすら理解できないんだ。彼は自分の能力の呪いに囚われた囚人なんだ。

2019/8/9 追記:

テナント: キルグレイブは世界的権力や国連を乗っ取る事や核ミサイル、もしくはアスガルド征服を望んでるような昔ながらのスーパーヴィランではないんだ。

何が恐ろしいかって、彼は自分の望む事を人にさせる事ができ、誰もそれを防ぐ手立てを持たないという事。

弁解の余地が無い彼を弁解すると、彼は自分が言ったから人がそうしてるのか、その人が自分で望んでそうしているのかの区別がつけられない。

彼が示唆するとそれは実現されてしまう。だから彼にとっては人が意に反して行動している事を理解するのはとても難しいんだ。

彼は自分の事だけを考えていて、普通の人間の事はよく理解出来ていないのではないかと思うし、人の気持ちを理解する事も出来ないのだと思う。

特に怖いのはたとえ、彼より強くても、彼より大型の銃を持っていたとしても、彼は心を支配し、全てのコントロールを奪ってしまうという点だよね。

僕自身は絶対遭遇したくはないね。

—-

テナントさんの出演する『ジェシカ・ジョーンズ』はシーズン1全話とシーズン2エピソード11です。

カタカナ表記について: Netflixの字幕ではキルグレイブなのでキルグレイブと打っていましたが、キルグレイヴの方が自然なので途中から変更しました。先に打ったものはそのままにしてあります。

キルグレイヴについてこちらも→

テナントさんのキルグレイヴ学 Study of Kilgravism

グッド・オーメンズ インタビュー訳

Amazon プライムで配信されている6話のドラマ「グッド・オーメンズ」。まんまとはまりました。

(一緒に仕事をするのは予想した通りでしたでしょうか?)
マイケル・シーン: そうだね。ずっと言ってるけど僕はデヴィッドの作品のファンだった。
デヴィッド・テナント:僕も同じさ。
マイケル: でも実際のところは共演してどうそれが作用していくかはわからなかった。僕たちは元々大きく違うわけでもなかったし。俳優としては同じような役柄を演じたりする。それが今回どちらも天使として生まれたという共通点にうまく作用してくれたんだと思う。こういう似た境遇という関係性は良いものではあるけれど、必ずうまく作用するとは限らないんだ。初めての読み合わせの時に「なるほど、デヴィッドの立ち位置はそこなのか、じゃあ僕はこちら側で」とダンスの役割のようなものをつかんだ。あとはリズムに任せて演じていったら息が合っていたんだ。ぴったり息が会っていたと思わない?
デヴィッド: 僕は予想した通りだったと思う。マイケルはクリエイティヴな俳優だから、こんな感じの演技をするんじゃないかな、と想像していたんだ。
マイケル:デヴィッドは照れてしまうかもしれないけど、前に“この役を演じる上で一番難しかった事は”と聞かれたことがある。
デヴィッドと共演しているときに彼の演技に「いや~、さすが上手いなあ」と見とれて自分の役を忘れないようにすることが一番大変だった。あと、すごく良かったのはね、ありきたりの表現かもしれないけれど、テニスのラリーのように相手からのボールを前後に打ち返し続けるような楽しさだったことだね。
中略


マイケル:アジラフェルとクロウリーはお互いをとてもよく補完しあう。僕たちが役柄になりきろうとすればするほど二人の関係はより良いものになっていったんだ。それがこの物語や二人の関係の原動力となった。
デヴィッド: それが直接物語に入りこんでいったよね。
マイケル: 僕は早い段階でアジラフェルはクロウリーを愛していると確信していたからより簡単だった。アジラフェルにとってはお互いは真逆の存在だし、クロウリーのやる事は認められないから難しいことなんだ。でもそれが逆に役者としては「この場面における自分の目標は、君を(デヴィッドの方を向いて)どれだけ愛しているかがばれないようにすること。そして君を切望するようにただ見つめる事」みたいに考えられたからね。

デヴィッド: クロウリーの方は完全にアジラフェルを愛している。でもその事実を彼は気に入らないし、苛立ってしまう。つまり二人とも同じような思いを経験してる。

マイケル: 素敵なラブストーリーみないなものがあるんだと思う。原作の多くのファンの多くもこの二人のキャラクターの興味深いラブストーリーが好きだと思う。はっきり書かれてはいないけれど、見て取れるよね。

中略

(今までに演じられた役でグッド・オーメンズでの役と似ている役柄はありますか?)

デヴィッド: いい質問だね。3日くらい前に教えてもらえていればしっかりとした回答ができたかもしれない。思い浮かぶのはピーター・ヴィンセントくらいかな。『フライトナイト』の。同じような格好をしてる。彼はロックな男で自分自身が本当にクールだと思っている。ホントは全くクールじゃないのにね。横暴っぽい外見だけど内面は優しんだ。クロウリーにもそういう部分があるよね。

(『フライトナイト』より)